2025年1月11日(土)に第14回文化と地域デザイン講座(兼文化と地域デザイン学会例会)を開催いたします。
今回のゲストは、奈良県大淀町教育委員会・発掘技師/学芸員の松田度(わたる)さん 。奈良県大淀町の「岸田日出男コレクション」に改めて注目し、同資料の発見をきっかけに始まった近現代のフィルムアーカイブづくりを取り上げます。
【日時】
2025年1月11日(土)
午後1時~午後3時
(終了後、1時間程度の交流会を予定しています。差し入れ大歓迎!)
【会場】
アカデミックスペース「本のある工場」
(大阪市此花区西九条5-3-10)
(JR大阪環状線・阪神なんば線 西九条駅下車。徒歩7-8分)
(階段で2階の会場に上がります。エレベーターはありません)
※冬場で冷えるため、厚着でお越しくださいませ。
【申し込み】
定員20人。先着順にて受け付けます。
申込はこちら
文化遺産って、どうしても埋蔵文化財・神社仏閣・宗教美術・古民家・民俗資料などを思い浮かべてしまいます。しかし、「近現代のアーカイブ」も大切な遺産と言えましょう。そこで第14回「文化と地域デザイン講座」では、大正や昭和初期のフィルムを集めて保存する試みについて語り合います。
岸田日出男(1890-1959)は「吉野・熊野国立公園の父」とされている。吉野郡(のちの奈良県庁)の技師として紀伊半島の山々を歩いた。「国立公園にして自然を保護したい」と国立公園の指定運動に奔走した。今でいう「エコロジスト」の先駆者で、「インディ・ジョーンズ」みたいな人物だった。
大淀町の自宅で亡くなった。それから57年後の2016年12月の暮れ、岸田の曾孫からの連絡で、大量のコレクションが実家に保管されていることが分かった。段ボール箱で58箱分。計4179点に達した。
なかでも注目されたのが、ニホンオオカミの頭蓋骨だ。「明治16(1883)年」に捕らえられたものだという。さらにフィルム4点も貴重なものと判明。いずれも2023年3月、町の文化財に指定された。
町文化財指定されたフィルム4点は、1922(大正11)年に内務省衛生局の撮影隊が写した白黒サイレント映画『吉野群峯』(全3巻)の2巻と3巻、および翌1923年の『瀞八丁実写』、1937年の映画『熊野路』である。いずれもデジタル処理されて遺された。『吉野群峯』は、大台ケ原や大峰山系を写した県内最古の映像と判明。文化財の宝庫とされる奈良県内でも、近現代のフィルムが文化財指定になったケースは県内初めて。いや、むしろ、奈良県が世界遺産・国宝・重文などの「文化財の宝庫」であるだけに、近現代のフィルム収集が遅れていた面があったという。
フィルムは可燃性のため、燃えやすく、後世に伝わりにくい。まさに今、消えてなくなろうとしている。そこで松田は、奈良県立大学の教員らと「奈良フィルムアーカイブプロジェクト」を立ち上げ、事務局長を務めて収集に乗り出した。たとえば奇跡的に上北山村の民家で見つかった1928(昭和3)年の映像をデジタル処理すると、これまで見えなかった看板の文字や人々の生き生きした表情が鮮明に浮かび上がった。自動車(米国車ビュイック)の車体の質感や着物の素材までが確認できるようになった。
1月11日の「本のある工場」では、これらの古い映像が奈良県外で初めて公開される。映像を見ながら説明を聞きつつ、「ヘリテージマネジメント(文化遺産経営)」について、ワイワイと語り合いたい。
詳細は下記資料をご覧ください(Word・PDFどちらも内容は同じです)。
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